食に特化したクリエイティブカンパニー HIRASAWAは、食品業界に携わる全ての方々へ敬意を払いつつ、社会的責任のもと、創造や変化に“デザインの力”で世界へ貢献します。

ごったんで〜す!
その8. GRATO 様 
2024.02.28

唐突ながら私、しょくたんは麺類が大好物!なんなら毎日でもいいくらい!「麺類」といってもその種類はバラエティ豊かなので選択肢も多いですよね。トッピングの多さと手軽さで人気のうどんチェーン店やラーメン店の数は街に出れば周知の通り!洋食部門の「パスタ」も子どもからお年寄りまで幅広い人気ですよね!

ちなみに日本にパスタが持ち込まれたのは幕末の頃。横浜が発祥といわれています。イタリア製のマカロニ製造機が日本に導入された1955年は日本の「パスタ元年」と呼ばれています。当時はまだ日本に本来のパスタの材料であるデュラム小麦を粗挽きにしたデュラム・セモリナ小麦はなく、パン用の小麦粉である強力粉で代用され作られていました。昭和初期から国産化は進みましたが、当時の機械は原料配合・練り・圧縮押し出し・乾燥などを個別に行う方式で、機械も小型なため大量生産からも程遠く、ごく一部のレストランで味わえる貴重な食事だったパスタ。

時は流れ、最近のように錯覚する1986年(今から約40年も前なんかい!)。海外旅行に出かける人も増え、日本にイタリアンレストランのブーム到来!「イタメシ」なんて言葉がありましたね~。そんな流行もあり日本人のパスタの好みも時と共に本格派へと変わり、この頃ようやくパスタの原料はほぼデュラム・セモリナ100%へ移行されます。時代を紐解くと日本においてのパスタの歴史って比較的新しいものだったのですね。(参考資料:日本パスタ協会)

なんでパスタ語りを始めたのかって?そりゃ勿論、今回お邪魔するお店がパスタのお店だからですよ。勉強して訪れたらお店でちょっと鼻高々に語れるじゃありませんか!あ、心の中でね。なんせこのコーナーって1人のぼっち旅なので。

さて到着したのは「東中野 GRATO」さま。“ ごっ舌で~す! ” で訪れるということはいわゆる普通のお店ではない!そう、この“ごっ舌で~す!”のコーナーには普通という文字は許されない!美食家への道を歩むコーナーなのである!私は「ある特別なパスタ」を目指してやってきたのであります!

都会のような下町のような、そんな東中野の一角にある「街のイタリアン」という佇まいのお店。調べたところによると地元で20年以上親しまれているお店とのことで。なるほど、変に気取った感じもなくて家の近所ならば足繁く通いそう!行きつけの喫茶店のような安心感とでもいいましょうか。入口の手描きチョークアート風な黒板メニューも良い感じです!なぜか物陰に隠れている!?どうした?

店内に足を踏み入れると「あぁ、この感じいいわぁ~!」という言葉が出てきそうなまったり空間!
入った瞬間に分かる「ここ絶対美味しいお店」感。初めてなのに常連感!

さて今回私がGRATOさまでいただくものはというと2011年の中野区逸品グランプリで金賞を受賞した「つけ麺スパゲティー」なのです!

???
パスタでつけ麺!!もはや何が何やら。
スープパスタなら聞いたことがあるけれど、つけ麺という発想が新しすぎるじゃありませんか!つけ麺といえばラーメンが真っ先に浮かびますが、言ってみれば「ざるそば」もつけ麺グループなのか!「ざるうどん」もね。ついでに言うと「そうめん」も仲間か。なるほど!そのせいか違和感がないような。いや、あるような。何はともあれこれはいただくしかないでしょう。

その前にまずは恒例のメニューブックチェック!
ランチタイムということもあり、テーブルに置いてあったのはパウチタイプのメニューのみでした。その中に手描きメニューも発見!お店の方の作品でしょうか。手描きはホッコリいいですね~!

HiRASAWAでもイラスト中心のメニューやポスターのデザインのお仕事が多く、その理由として「やさしい感じにしたい」「写真よりもイラストの方がお店の雰囲気に合う」「生々しい感じを出さない表現がしたい」などのご意見があります。この場合は「やさしい感じ」というのが充分に発揮されていますね!思わず頼みたくなってしまいます!

HiRASAWAは基本的にはグラフィックデザインの会社ではありますが、実は腕利きのイラストレーターも在籍しております!とにかく絵が上手!本当に上手!うますぎ!(語彙力…)。どんなタッチでもだいたい描いてしまうので憧れちゃいます。字が綺麗とか絵が上手って本当に羨ましい…どこに行っても羨ましがられ褒められるんだろうなぁ…。しょくたんの得意技って何かあるのかしら?(自問→落ち込み)。

おっと、話が飛びまくっている!現実世界に舞い戻り、メニューを見ていて私はここであることに気がついた。「おいおい!つけ麺パスタ…ないぞ!」ランチタイムではつけ麺パスタの扱いがない!?

ガーン…
下調べしたつもりがまさかの展開!注文をとりにこられた店員の方に恐る恐る聞いてみる。「あのー…名物のつけ麺パスタを食べたくてやってきたのですがランチタイムは取り扱っていないんです…ね(消沈)」しょくたんのドンヨリした目が切ない。もしくは怖い。

「ちょっと待っててくださいね!」私の落ち込み方が尋常ではなかったのを察知したお店の方!優しそうな笑顔で厨房に交渉へ行ってくださいました。「少々お時間かかりますが出せます!」まさに地獄から天国へのメッセージ!「あ、ありがとうございますー!」お忙しいランチタイムのなかでのご対応。地元に愛される街イタリアンならではの神対応!ありがたや~!ありがたや~!

すぐに付け合わせのサラダが届きます。お!私の天敵ともいえる健康的なグリーンサラダ。だがしかし、私にはドレッシングという武器があればこの敵に打ち勝つことができるのである。苦手な野菜臭(すみません)もドレッシングが消してくれる!(重ねてすみません、本当に)。私の予想ではこの雰囲気のお店は高い割合でシェフの手づくりドレッシング率なのである。

ぱくり!やはり。

やはりそうであった。
酸っぱすぎずサラッとした口当たりのドレッシングは市販品とは思えない!しょくたんは無事に野菜軍団に勝利したのでした。生野菜が苦手な人に告ぐ!ドレッシングは大事じゃぞ。

引き続き待つこと少々。運ばれてきました~!
下調べしてきた料理の説明文には「細麺のカッペリーニにじっくり煮込んだ自家製の角煮入りのコクのあるスープを味わいながらどうぞ!」と書いてはありましたが、このビジュアルは…

お皿に細めんのパスタが綺麗に盛られていています!こ…これは…もしや高級なお蕎麦!?(パスタです!)

「美しい!美しいではないですか」と、思わず言葉が出そうになる。そして運ばれたときから店内に良い香りを放っているのは…

「つけ汁」にあたるこのスープは件の下調べの通り中にはお肉や野菜がたっぷり。野菜は煮込んであるのでスープの味がうまく一体化され、ニンニクとバジルの香りが加わり食欲をそそります。この具沢山スープを一気に飲みたい気分を抑え、いよいよパスタをつけます!お箸も出していただき気分はすっかりジャパン&イタリアンの融合!これぞ真の国際交流!

匂いが届けられないのが残念!もう本当に良い香りなのです。
このトマトベースのつけ汁に細麺が良い具合に絡み、写真を撮ってる場合じゃない!早く食べたいんじゃ!と怒りの感情が押し寄せる。いかん、仕事なのだこれは!どうにか納得がいく写真も撮れたところでパクリ!

「美味ぃぃぃぃ~!!」いやもうほんとうになんていうかまじでほんとーに「美味しい」んです。例えるなら、イタリアンのお店で食べるめちゃくちゃ美味しい具沢山スープにパスタを絡ませて食べ…って、そのままやんか!

たまに顔をのぞかせる自家製角煮がこれまたジューシー!しょくたんが苦手な野菜がゴロゴロ入っているのに全然平気!いや、むしろ美味しいのなんの!料理の魔法ってすごいです!シャキシャキとした煮込んだ野菜の触感と細麺の上品さ、全てが美の協奏曲のように重なり合い、感動の逸品!

感想をまとめますと、確かにこれは「つけ麺」なのかもしれない。が、イタリアンも中華も和も超越した異次元クラスの美味しさでした。勿論パスタ以外のメニューも豊富なようです。夜はきっと存分にイタリアンの魅力に溺れることが出来るはず!こんな美味しいお店が自宅の近くにあればなぁ~!と思わずにいられませんでした。

ランチメニュー外のオーダーだったにも関わらず快く準備してくださったお店の皆さま、本当にありがとうございました!おがげさまでしょくたんは身も心もホクホクで帰社しました!

GRATO様、ありがとうございました。