第1回
株式會社HiRASAWA
代表取締役社長 平澤浩一
美味しい料理を求めてお店を選ぶとき、料理そのものの味だけではなく、その「見た目」も重要な要素だと私は考えてます。人は視覚を通して多くの情報を得ており、料理の味を感じる前に見た目が与える印象が味の期待値に影響を及ぼすことが多いからです。見た目がどのようにして美味しさを演出し惹きつけるのか。その要素を考えてみたいと思います。
まず、料理そのものの「盛り付け」が目を引きます。彩り豊かな食材が美しく配され、形状やポーションも食欲をそそるように工夫されていること。例えば、食材の配置によって視覚的なバランスが整えられていると、それだけで味に対する期待感が高まります。さらに、盛り付けに合わせた食器やカトラリーの選定、カスター類の配置、メニュー表のデザインなど、テーブル上のコーディネートが料理の世界観として美味しさを引き立てます。
次に店内の「空間インテリア」も重要です。家具のセレクトや床の材質、照明の明るさやアートの取り入れ方など、店内全体の雰囲気が料理の見た目と調和していると、視覚から得られる満足感が一層増します。また、入り口や外観(ファサード)も印象を左右する重要な要素です。看板やPOP、小物、メニュー表のデザインなどが統一感を持っていると、店に入る前からそのお店の魅力コンセプトが視覚的に伝わり、期待感が高まると思います。
これらの要素を、私は意識的にひとつずつチェックしているわけではありませんが、無意識のうちに「感じ取って」います。そこには、表現者である料理人やデザイナーの意図的な創作が込められており「美味しさ」や「居心地の良さ」を感じさせてくれるのです。
実際、視覚から得られる情報は料理の評価において非常に重要な役割を果たしています。例えば料理の味を100とした場合、視覚からの情報はそのうちの半分、50と考えます。脳が視覚的な情報で覚醒し、味覚の想像が積み重なっていくことで、そのお店の期待値と料理を口にした時の美味しさとが合わさり数字は高まるのではないでしょうか。
最後に、忘れてはならないのが「サービス」の存在です。スタッフの対応が良くお店全体に温かみを感じられると、そのお店への評価はさらに3割増しだと感じています。視覚から始まり、味覚、そして人の温かみが揃うことで心から「美味しい」と感じることができると思います。
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